Wondershakeの軌跡をお届け Vol.5

Hiromi Igarashi
Wondershake Inc.
Published in
7 min readJun 16, 2016

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Wondershake社のPR担当五十嵐です。

弊社CEOの鈴木仁士が語るWondershakeの歩み第五弾。

度重なる挫折に自信をなくしていく創業メンバー。ギスギスした雰囲気が漂う中、自分たちはこんなことで終わらないという反骨心で受託をしながらサービスの開発を続けます。その結果、すぐに黒字化、次の事業のことも考えられるようになっていきます。

新規事業はコマース領域に着目

2012年の末頃になると、少し資金繰りの余裕も出来てきたので、次の大きい事業どうしようかというまともな話ができるようになりました。そこから約3ヶ月間ずっと毎日新規事業について議論していましたね。次は絶対事業を成長させたかったので。ある程度最初はマーケットの流れを見ながら国内でもまだまだマーケットの拡大機会があって、世界的にも展開できるようなモデルを作ろうと考えていました。

その際はやはりアメリカの市場は特に見ていました。当時、フリマだと女性向けのfrilがリリースされて伸び始めていて、スマホ上でのコマース事業が動き始めた時期でした。それこそまだmercariがリリースされる前ですね。スマホであればフリマ的なマーケットプレイスモデルか、BtoBtoCであれば楽天市場をリプレイスするようなモデルにチャンスがあるだろうな、など。

一方で、メディアも当時からかなりウォッチしていました。出版業界がこれから衰退して行き、コンテンツが待ったなしでWEB化していく。それがスマホで消費されるだろうと、かつスマホの中でもブラウザベースだけでなくて、ネイティブアプリが流通の中心になるんじゃないかと考えました。自分たちは会社として創業からアプリ領域でサービスを何本も作ってきた経験がある。そこは他社にない強みだと感じていました。自分たちの強みと今後のマーケット成長を考え、スマホ×メディア×コマースの領域に入っていこうと決めました。

作りたいと考えていたのはリアルのウィンドウショッピングに近い体験ですね。創業当時からのミッションである「日常に非日常な体験」を考えると、従来の検索型のECモデルは価値観が合いませんでした。これまでのECサービスや店舗では出会えなかった商品と毎日気軽に出会える場所、そういったサービスを作りたいと思いました。

サービスコンセプトになったイタリアのフィレンツェの街

そのウインドウショッピングというコンセプトから、Locariというサービス名も生まれています。イタリア語の「ロカリテ=小さい街」という言葉から名づけました。対象は働かれている又は子育てをされている女性で、普段忙しくショッピングを楽しめていない方々にむけてサービスを作ろうと。

また、COOの伊藤が以前から楽天市場上で店舗運営の経験があったこともあり、彼らの店舗が抱えている課題を強く感じてました。店舗出品型にし、手数料0%で商品調達を一気に進めていこうと。手数料が0%なのでその代わり商品をディスカウントしてください、送料無料にしてくださいといった、僕たちのLocariにしかない特典を提供してもらうモデルを考えました。

開発当初コマースサービスとして作った際のLocari

ユーザーサイドはフラッシュセールのような常に商品が入れ替わる体験にし、ビジネスモデルはユーザーが課金をすることで限定商品や限定セールの特別ルームに入れるというようなプラットフォームを作るという意図でやろうと。こうして方向性は見えてきたんですけど、ただ、当時は受託事業もやりながらだったので、その新規事業に完全コミットはできていなかったんです。

そして、コマースからメディアへの転換

それから9ヶ月間くらいですかね、商品を初期に調達する工程も発生したので、結構時間をかけてリリースをしました。それがLocariのEC版で、ユーザーも数万人つきましたね。ただリリースして数ヶ月でECというビジネスモデルに難しさを感じる機会が非常に多かった。商品調達、カスタマーサポート、ユーザーの集客もあって人手も資金もかかると。今考えると当たり前のことなんですが、実際に改めて立ち上げまでがしんどいなと。当時も創業メンバー4名中心ですし、受託もしながら新規事業を作っていたので、広告宣伝費もかけれませんでした。

それもあり、もう一度ビジネスモデルを考え直そうということになりました。

スマホ上のEC体験はこれから大きく変化するとは思っていましたが、入り方が違ったねと。そこで創業メンバーの議論の中で今後メディアとECがより一体化していくんじゃないの?という仮説が生まれました。 “もの”を知る場所と買う場所はこれまで結構断絶されてたよねと。雑誌で知ってリアル店舗に買いにいくとか、テレビで見てネットで買うとか。メディアの記事や動画から“もの”を知って、そのままWebで購入、決済できるワンプラットフォームは実は存在していないということに気づいたんです。実際今もメディアコマースプラットフォームはないんですよね。

北欧、暮らしの道具店などはECがメディア化しているパターンで、ただあれはものを売っている会社さんが記事を書き始めたという感じ。Locariは記事からものを売っていこうという逆の順番で考えていました。当時からNaverまとめの成長は見ていたので、メディアは伸ばせるということは分かっていました。コマースを前提としてメディア作りに切り替えようと。

記事作成の体制もこれまで他社がCGMでやっていたところを、Locariはクラウドソーシング型に変えて、クラウドワーカーの方に記事を書いてもらうことにしました。我々は高品質な記事を制作していこうと。

それが2014年の春頃ですね。で、今回は受託や他サービスは全てストップさせてLocariを一気に成長させようと。なので、もう一回投資家を回り、資金調達をしようという話になりました。

All-Inするための資金集めを実施

コマースを前提としてメディアと作るモデルはいけるとおもっていました。これまでにゲームメディアを開発し成長させていた経験もあったので、手応えはあると。ただ投資家を回ったけれどもなかなか投資が決まりませんでした。何とか必死に、思い当たる会社を全部回った結果1社のみ、ニッセイ・キャピタルさんが出したいって言ってくださったんです。

実は担当者の方とは創業タイミングから知り合いだったんです。起業した当初、一度声をかけてもらっていたんですが、当時はお金も集まり切っていて、その方がすごく懇意にしてくださったのに断っていました。当時いろんなメディアに掲載されて正直舞い上がってしまっていたんですよね。でも、ありがたいことにその方はちゃんと覚えてくださっていて。その方の投資テーマが合致していたこと、またWondershakeの創業メンバーは全員辞めていない、辞めずにここまでやってきているということを評価していただいて。「今後もうちのメンバーは成功するまで諦めずにやりきるんだろうね」と仰っていただき、その方に出資を決めていただきました。これは本当に大きかったですし、本当に嬉しかったです。その後、別会社さんからの追加投資もあり、資金調達が無事クロージングできました。そこからは他に手掛けていた事業を全てストップし、ものによっては事業売却し、メディアに完全に振り切り切ったのが、2014年7月になりますね。そこからがスタートでした。

(最終回はWondershakeの未来編をお届けします!)

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